【書評】上野玲『うつは薬では治らない』文春新書
チェック項目13箇所。さて、うつとはいったい、どんなものなのでしょう、その答えを私も知りたい、私は書き手であると同時に、患者として、その答えを考える旅に出るつもりです。よく誤解されているのですが、うつの人はずっと暗い表情をしているとは限りません、逆に、他者がいると、雰囲気を暗くしてはいけないと気を遣い、明るく振る舞う、哀しい「演技性」を持っています。抗うつ薬を飲むより、十分な休養が取れたほうが、症状の軽快には効果的かもしれません、そのためには、周囲にカミングアウトして理解してもらうことができる環境作りや、生活費の心配をしなくて済むような社会福祉政策の実現など、高いハードルがいくつもあります。最近の研究では、特殊な機械を使い、脳の萎縮が可視化されたりして、脳内に異常が起きていることは突き止められてきましたが、それがどうして起きるのか、そうした脳の萎縮を改善するためにはどうしたらいいか、は結論を棚上げにしたままです。結局、うつに関して医学はなんら科学的論証がないまま、推論だけで語られている、これが真実です。「患者化」というのは、私や親しい精神科医が考え出した造語で、「生活者としての主体性を欠き、患者であることに依存して、社会性を失った者」を意味しています、実は、「患者化」は医師によって作られている面があります。現代社会は誰がうつになってもおかしくないくらい、緊張度が高く、達成感の低い社会です、その渦中にあって、どうして「自分だけうつにならない」と言い切れるのでしょうか、うつは決して他人事ではないのです、誰しもがなりうる因子を持っています。うつの基本心理は、億劫感とイライラ感と不安感、そして、様々な自分を責める気持ちに悩まされるのです。うつの兆しはまず睡眠から現れます、睡眠の安定は健康を保つ上で、もっとも大切な要素の一つ、それが不調になるというのは、やはり何かしら身体的な異変が起きているシグナルなのです。一番のNG医師は、パソコンに症状を打ち込むだけで、薬だけはたくさん出すパターン、うつの治療は生活習慣から生育歴、考え方、価値観など、多種多様な心の動きを察知しなければできないはずですから、まず人として扱うことが大前提、基本は目を見て話せること。うつは心が疲れた状態です、そんな時、やはり優しい言葉をかけてもらうと嬉しく感じます、では、どんな言葉をかけてあげたらいいのでしょうか、私が一番、ホッとするのが、この言葉です「頑張ったね。では少し休みましょう」。うつになると、曖昧で優しい言葉をかけてもらいたいと思いがちです、しかし、それは一時の気休めにしかなりません、本当に必要なのは、時に厳しい言葉だったりします、やっぱり自分の足で立つ、そのためには、気休めはいらない。すべては「ちょっと努力する」ことから始まります、何もしないで「患者化」しているだけでは、事態は好転しません。
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