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【書評】松本健一『三島由紀夫の二・二六事件』文春新書

三島由紀夫、北一輝、昭和天皇のそれぞれの立場と思想の交錯するありようを、二・二六事件を舞台にして浮き彫りにしています。

二・二六事件を引き起こした青年将校たちは、「自分の純粋行為」(至情)と「価値の根源である天皇」を直結させることを願っていたと著者は言います。しかし、北一輝自身は天皇を「価値の根源」と考えておらず、むしろ天皇は国民=国歌(ネーション・ステート)のための「機関」だと考えていました。

そしてこの点に、三島由紀夫は違和感を覚えたのだと、著者は指摘します。三島は『英霊の声』などの作品を通して、二・二六事件の青年将校たちを描きました。三島は、磯部浅一という青年将校の心情おける「待つこと」の意義に触れています。そこに三島は、みずからと同じロマン主義的な精神を読み取ろうとしたのでした。

一方、そうした三島のロマン主義に対して、鋭い批判を提起したのが橋川文三でした。橋川は、三島の求める「文化概念としての天皇」が、近代国家における「政治概念としての天皇」と齟齬することを突いたのです。しかし三島は、この橋川の批判に対して、これこそが「私ではなくて、天皇その御方が、不断に問われてきた論理的矛盾ではなかったでしょうか」と問い返します。ここから著者は、三島によって二・二六事件の本質が露にされたと主張します。二・二六事件とはひっきょう、天皇自身が西欧的立憲君主という「政治的概念」となることで、青年将校たちの求めた「美の総覧者」としての天皇を討伐した事件でした。

天皇が単に「空虚な中心」ではなく「政治概念」でもあるという二重性と、その二重性に絡み取られた三島由紀夫、北一輝、そして昭和天皇自身の三者の姿が見事に解き明かされており、おもしろく読みました。



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