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【書評】木村昌人『高橋是清と昭和恐慌』文春新書

タイトルは絶対『高橋是清と井上準之助』にすべき。この2人を対比させながら金本位制を軸にした国際通貨体制と昭和初期の日本経済を描いている。ではなぜタイトルに井上準之助の名前がないかというと、著者はどうやら国際金融家として高橋是清の方を評価しているよう。井上準之助が金解禁を断行した理由は主に3つ。?当時は金本位制こそが国際基準となっており、世界の潮流に乗り遅れまいと考えたこと。?1929年にBISが設立され、参加資格に金本位制を採用している通貨安定国であるという条件があったこと。?当時の強力な金解禁論者に浜口雄幸がおり、雄幸に金解禁を任されたという形での入閣だったこと。しかし解禁のタイミングは最悪で結果として世界恐慌の荒波の中に放り出さることに。でも興味深いのは当時井上は世界恐慌に対してかなり楽観的だったこと。ポンドやドルが減価すれば円との金利差は縮小し、正貨が海外に流出することがなくなると逆に喜んでいた。しかし実際は輸出財価格が大幅に下落し昭和恐慌に突入。井上は高橋に蔵相の座を譲る。高橋は直ちに金輸出を再禁止、その結果株式市場は高騰し為替市場は暴落、円安が進んだことで輸出が促進して経済は一気に回復した。ここで明暗を分けたのは井上と高橋の柔軟さの違い。井上には「金解禁を行うのは自分しかいない」というプライドと、金本位制こそ「世界標準」という安易な思い込みがあったため、後戻りできなくなってしまった。それに対して高橋は自国経済と金本位制の仕組みをよく理解した上でそれが日本にとって有益か無益か損益の計算をしていた。「世界標準」に踊らされるのではなく「自分の頭で考えろ!」。これこそグローバルな現代を生き抜く上で身に着けておくべき哲学である。 というような内容です。ふー。



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