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【書評】J.ミルトン C.ポルマー J.ファブリシアス『精神分析入門講座―英国学派を中心に』岩崎学術出版社

「精神分析とは何か?」に始まり,その理論の基礎,歴史,世界各地での展開,批判,研究方法としての精神分析,面接以外への応用,他の精神療法との関係,職業としての精神分析と,初学者の疑問に答え,好奇心を刺激するだけでなく,経験豊かな治癒者にも生きた知識を与えてくれる魅力的な入門書。

* * * * *

「対象関係論」が精神分析の臨床に関心を抱くわが国の臨床家たちに注目され,実践に役立つ理論や技法として歓迎され始めてからしばらくの歳月が経ちました。そして今日,精神分析のメインストリームと位置づけられるほどになっています。それは,私たちが臨床現場で重いパーソナリティ障害の人たち,あるいは別の形での重篤な病理や行為の障害を抱える人たちに頻繁に出会うことと無関係ではないように思われます。こころの治療者であるなら,それらの人たちをより深く理解し有効に援助する理論や技法を求めないではおれないでしょう。その切なる希求に対象関係論が応えているところに,要望される理由があると思います。本書は実働している今日の英国学派の精神分析を紹介する著書です。英国において,精神分析は現在どのようにあるのかを述べています。精神分析とは何かに始まり,精神分析の理論や歴史,広がりはもちろんですが,批判,研究,他分野との交流,その専門職としての実際まで,実に率直に述べられています。私が本書から得る印象は,記載が誇大感や被害感に染められることのない,公平さと謙虚さです。本書は,英国の精神分析がありのままに理解されることを求めています。本書の構成と内容のわかりやすさもそこからきています。対象関係論のみならず,精神分析に関心を抱かれている方なら,本書によって得られる知識は必ず有用でしょう。精神分析の理論や技法,実践にかかわる人や組織という,日常臨床の営みとしての精神分析の本体がここに描かれています。初学者にも経験豊かな治療者にも,精神分析を知るという私たちが熱望していることに,これまでになかった生きた知識を付け加えてくれるでしょう。(「監訳者まえがき」より)



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