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【書評】エーリッヒ・フロム『破壊 下―人間性の解剖』紀伊國屋書店

本書は、フロムが「悪について」を書いた丁度10年後に同じテーマについて書き直した著作と言えるだろう。
人間がなぜ大量虐殺などの残虐な行いをするのか?
「悪について」は、心理学・哲学的な観点が主たる視点の作品であったが、本作「破壊」は、ダーウィン的な進化生物学的や、脳科学的な視点も加えて、多角的となり、納得性のある内容となっている。
フロムは、最初の章においてローレンツらの「悪の本能論」を徹底的に否定する。
次にフロムは、フロイトの心理学全般に対する貢献を認めつつも、人間特有の悪に対する分析と結論の間違いと不足に言及する。
即ち、最初の章でフロムは、本書における「人間的な悪」の分析こそが、最適で最新の考え方であることを主張する。
次章からは、その中身についての解説が開始される。
進化生物学的に、脳が発達しその情報処理能力を高めた生物ほど、本能による支配を弱め、その代わりを論理的な判断に委ねられるようになった。それによって、本能による画一的なパターン化された行動から、状況の判断を踏まえたより柔軟な行動が可能となったのだ。その進化の最たる種がヒトであり、ヒトにおいては、他の類人猿に比べても大幅に本能の支配は減弱され、意識による自己監視による多様な判断が可能となっている。この高度な知能に裏打ちされた柔軟性こそが、ヒトが人たる所以であり、高度な文明社会の創造を可能とする根本原理である。その柔軟性あるヒトの脳の機能原理とは、本能によるもの、無意識によるもの、意識によるものという3つの力の綱引きという、一人の脳の中で繰り広げられる”葛藤”である。人間には、高度に発達した記憶があるだけでなく、その記憶情報を用いた複雑な論理思考による未来予想の能力が備わっている。これらの超自然的なヒトの能力は、一見すると良いことをもたらすだけに思えるのだが、
実は、その反面が存在するのである。これこそが、人間性の影の部分である”悪”である。超自然的なヒトの悪である。

私は、フロムの著作の中で、「生きるということ」と「破壊」を、陽と陰の対となる作品として特にお勧めしたい。



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