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【書評】三島由紀夫『音楽』新潮文庫

 不感症に悩む女性患者について精神分析医が書いた学術的記録という体をとった小説。比喩的表現が多く、言っていることの何が真実で何が嘘なのかが分からない女性をあくまで分析的に見つめつつ、そんな謎めく彼女に惹かれていく自分の心をも冷静に描写していて、一定の距離感をもちながら彼女の核に迫っていく様子は静かながらにスリリングだった。精神と肉体の矛盾や愛情と憎悪など、対照的なものがごく自然に同居するのが人間なのだということを強く感じる小説で面白い。



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