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【書評】斎藤環『ひきこもりはなぜ「治る」のか?―精神分析的アプローチ』ちくま文庫

精神科医・斎藤環氏の治療論が、どういう理屈によって成り立っているのかということがわかる本です。わたし自身は定義上、ひきこもりではありませんが、似たような状態に陥ったことが少なからずありましたので、なにかヒントがあるかなと思って読んでみました。

「理論」とか「ラカン」という文字を見ただけでなんかややこしそうな感じを受けるのですが、意外にささっと読める内容になっていました。精神分析が生んだ理論の中から、治療の実践に使えるところを抽出して分かりやすく紹介しています。

それから斎藤先生の著書の特徴といってもいいかもしれない、「箴言」が印象的でした。

"自分を愛せない人が、それでも自分を愛するためには、まず他人から愛されなければなりません。そして他人から愛されるためには、他人を愛さなければなりません"(P.53)

"義務と欲望が判然としない状態というのは、実は一番動きづらい"(P.72)

"構造は単純なものよりも、複雑な方が安定性が高い"(P.103)

"改善とは、その理由と過程がみえているときに、最も望ましい形で起こるもの"(P.144)

"「理論は過激に、臨床は素朴に」"(P.225)

斎藤先生がその治療論において「他者とのつながり」をことのほか重視されている理由が、改めて見えてきたように思います。



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