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【書評】A・フロイト『自我と防衛』誠信書房

フロイトの後期の思想をまとめあげたもの、と銘打たれているものの、訳者自身があとがきにて、それを否定しているというかなりの異色的な書籍ではある。というのも、前期のフロイトは「意識・前意識・無意識+リビドー(性的な衝動)」を軸にすえていたものの、後期のフロイトは「超自我・自我・エス+生の衝動・死の衝動」を軸と据えているのだが、アンナフロイトが本著で述べているのは、「超自我・自我・エス+リビドー(性的な衝動)」といった具合となってしまっている故だと言う。確かに、読み通してみれば、アンナフロイトも基本的には「性衝動」が衝動=エスの中でもかなり中心的な衝動として据えられており、そこから自我が生まれて、更に超自我が生まれるとしている。この発達史観はもう少し詳しく述べると、当初は衝動のみがある。だが、その衝動に対して働きかけがある。無論、母親などからである。その外界的な、あるいは対象的な存在と触れることによって、自我が形成されうる。つまり、その中間的な性質として自らを統合していく存在として自我が生まれるわけである。かくして、衝動と自我が自分の中に存立してりうわけだが、自我は衝動を攻撃するようなものではなくて、むしろ、「意識されうる衝動」のようなものなのであろう。だから、ここで、衝動を抑える存在が認められる。それが当初は、外界からもたらされる。母親や父親にしかられるというのがそれにあたるわけであるが、そうした部分がそのうち自らの中に取り込まれて、超自我となる。よって、超自我は自我の先鋭的な存在となりうるのだろう。だからこそ、その中間にある自我は超自我の命令を受けて衝動を抑えたり、逆に衝動の攻撃を受けて超自我を圧迫したりするといった具合で、自我はある意味「葛藤の起きる場所」のような存在となっているようである。

しかし、このような発達史観を見てくれば、そもそも、「自我」や「超自我」すら実は「防衛の結果」によって生まれているのではないかとすらも感じられてくる。自我はともかく、超自我の誕生には防衛は必要であろうし、本著においても「原始的防衛」という言葉が使われているように、クライン的な対象関係についても実はアンナフロイトはかなり意識しており、その必要性も実は嫌と言うほど実感していたのではないかとすら思われる。彼女が児童分析を生業としていただけになおさらに。とりあえず、本著でかなり参考になったのは、衝動の質自体は変わらないとされているところである。質自体が変わるのは、自我であり、衝動は量が変わるだけである。更に言えば、男根期や思春期、更年期などで増えるのは衝動の量であり結果として自我が圧迫され、なおかつ超自我がそれを抑えようとするものだから、なおさら拮抗してしまう、といった形である。ここで、超自我が圧倒すれば神経症が生じるし、衝動が圧勝すれば性犯罪者にでもなってしまうことだろう。すなわち、ここで自我が勝利することによって、衝動を押さえつけながらも、神経症が起こらない状態をつくりあげることが肝要となる、という部分と、後は、我々が観察できるのは実は「自我だけ」であり、後は衝動や超自我が自我にどれだけ影響を与えたかということを自我の変容から知りうるだけというあたりだろうか?とはいえ、そこに更に外界の不安も加わるわけで、外界の不安・衝動の不安・良心の不安となってくればこの三つが絶えず自我に働いていると言えるわけで、そうすると、あれこれ断定することはできず、我々ができるのは「仮説」や「推測」となることであり、その部分を重々承知した上で、あれこれ分析を行っていくという形になるのだろうか?あと、気になったのは、所々で批判されているように、ここでも、「行動の(の=として表出する)転移」や「逆転移」が否定的に捉えられていることあたりかな。



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