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【書評】ジークムント・フロイト『自我論集』ちくま学芸文庫

S.フロイトの仕事の中でも、特に有名な「快感原則の彼岸」という論文が収録されている論文集です。『精神分析入門』(新潮文庫)に続いて読みました。

最初の論文は「対象」や「目標」といった基本的用語の概念解説を含む「欲動とその運命」(P.9~)、以後も各論文は年代順に収録されており、著者の考えの推移をつかみやすい構成になっています。フロイト氏はけっこう見解がコロコロ変わる人です。

もともとわたしには「自分はどうしてこんなにある種の他人を怖がるのだろう?どうすれば克服できるのだろう?」という強烈な問題意識がありました。著者に興味を持ったきっかけも、この個人的な問題意識でした。

もちろん著者は「弱めの肉食系男子」の自分探しの相手などしてくれず、はるか遠くのレベルでどんどん議論を進めていきます。本書の白眉はやはり「快感原則の彼岸」とそれに続く「自我とエス」の2編だと思われます。著者自ら認めるとおり思索的な論文、つまりあまり精神医療の現場で役立ちそうな内容ではない。しかしここで行われる議論に触発されて、数限りない哲学者の仕事が生み出されていきました。

例えばわたしがしぶとく読んできた東浩紀氏の『存在論的、郵便的』(新潮社:1998)でも、特に第4章第3節「精神分析的」以降、本書に収録された論文がたびたび引用されています。一方で、東氏の本では、本書収録の「自我とエス」という論文にある"身体の知覚的二重性"(P.223~)を、M.ハイデッガーの概念と重ねて説明する模式図が載っているなど(前掲書P.268)、双方の相乗効果(?)によって、とても刺激的な読書ができました。

最も短い論文「否定」は、わたしが精神分析一般に対してどうしても抱いてしまう「電波感」が濃縮されているという意味で、印象的な論文でした。"「この夢の人物は誰かとお尋ねですが、母ではありません」。われわれは「それは他ならぬ母である」と訂正する"(P.295)

このような「否定」の解釈は、精神分析においてはごく当たり前の作法のようですが、なんというか、カフカ的状況というか、「おいちょっと待て」と言いたくなります。本書で述べられている思考の過程を追いかけていくと、そもそも「人の話を聞く」ということはどういうことなのか、よくわからなくなってきます。

本書からは著者の「静的な記述的アプローチでは捉えきれない"心的なもの"のつながり・関係性・メカニズムを、なんとしてでも動的なものとして解きほぐす」という一貫した信念が強く伝わってきます。まずは読み手側の常識的発想をキャンセルして、フロイトのポジション取りをつかまないと、フロイトのノリにはついていけないのではないかと思います。わたしはまだまだぼんやりとした雰囲気しかつかめておりません。



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