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【書評】ラリー・ラウダン『科学と価値―相対主義と実在論を論駁する』勁草書房

科学者の認識と科学者集団の集団心理を不可分と見た科学史家クーンの『科学革命の構造』の登場以降、科学の歴史を「進歩」の歴史として描くことの妥当性が問われました。本書の著者ラウダンは、そんな「クーン革命」以降に登場した論者の中では最重要の人物のお一人。『科学は合理的に進歩する』で、クーンが提唱した「パラダイム」概念の中核的な部分を継承しつつ、非連続的断絶を強調するクーンの「科学革命」観には真っ向から反対する「研究伝統」論を提示して論争に一石を投じました。

本書では自身の「研究伝統」論をさらに発展させた「網状モデル」を提示して、科学の進歩のメカニズムをさらに精緻に分析し、クーンを奉じて当時勢いのあった「科学知識の社会学」の論証構造の不備に切り込んでいます。本書の緻密な議論を読むと、『科学革命の構造』は依然とてつもなく重要な著作ではあるけれど、すでにその主張自体は乗り越えられた古典となったのだなという思いを強くします。

ラウダンによれば、理論の指示対象が実在しないのに実験観測データは説明できていたがゆえに「成功」した理論がある一方で、指示対象は実在するのにデータには一致しないがゆえに失敗した理論があるという。前者の代表はエーテル理論であり、後者は原子論。20世紀になって放逐されたエーテルが18〜19世紀ではもっとも成功し、原子論はその間失敗の烙印を押されていたというのは確かに興味深い事実だ。科学理論の「成功」とは何なのか、歴史を踏まえて考えると、それほど簡単な話ではないことが分かる。

本書末尾の戸田山和久氏による解説が素晴らしく充実しているので、それを目当てで買ってもよいかもしれません。



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