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【書評】中島義道『悪への自由: カント倫理学の深層文法』勁草書房

『カントの法論』などでも示されてきた、カントの倫理学は外形的に適法的な行為が果たして道徳法則に単に適っているだけか、それとも道徳法則に対する「尊敬」からなされたのかを批判的に吟味するものであるという解釈の図式を著者はこの著作でも維持している。それとともに、超越論的自由の次元においては、その意志がないにも関わらず悪をなしてしまう「悪への自由」を人間は有しており、それがカントの倫理学を支える根幹になっていると主張する。さらには、カントの倫理学を単なる「形式主義」とみなす動向にも批判を加えており、カントは自然法論の価値観やいわば「誠実性の原理」を密輸入しているのであると主張する(この点については「カントの法論」付録でも示唆されていた)。カント倫理学の批判対象が、外形的には善人でありながら実は「幸福の原理」を動機として行動する道徳的には全く善人ではない小市民に向けられていることを了解させてくれる好著である。



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