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【書評】森村進『リバタリアニズム読本』勁草書房

政治思想リバタリアニズムとはいかなるものか?

それをキーワードで見出し的に整理された30の断章、ならびに30冊の古典からの引用と、計60の項目で分かりやすく説明してくれる好著。

前半の断章は非常に興味深い。リバタリアニズムとは、自由を至上命題にして、従来のリベラル・保守という対立軸とは一線を画した新しい政治思想であると説明される。もっとも一枚岩の思想ではなく、自由という価値の捉えかたによって、同じリバタリアンにも様々な立場があることがまた説明される。リバタリアニズム的価値観から見た、国家、教育、家族、法律などの社会の諸制度の再考察も興味深い。自由を押し進めると、社会はどう変わって行くのか、のこの考察が、自由という価値観にどれだけの意味を見い出すのか、について、読む人それぞれに対する試金石となろう。

後半の古典の紹介は、いきなり引用から始まるので、ちょっと難しすぎた。どういう立場の本で、何を言っているのかをもっと噛み砕いてくれれば分かりやすいのだが、考えようによっては、これも、解釈の自由を最大限に尊重しようというリバタリアニズム的態度ととれなくもない。これを手がかりに、自分がより興味をもてそうな古典にチャレンジしていける、そんな貴重な引用集でもある。ちなみに僕が興味をもったのは、純粋な思考実験としてのアナルコ・キャピタリズム。政府を一切廃し、社会生活すべてを市場原理のもとで行おうという、リバタリアニズムの中でも過激派に属する思想である。その発想の飛躍度、なんと驚くべき政治思想である事か。

さて、昨今世界各地で問題となっている、巨大マネーの暴走と破綻などの新自由主義の限界ともいえる諸問題、その新自由主義の思想的バックボーンにはこのリバタリアニズムがある。前述のような理由から、アンチの立場から身構えて読んだ本だが、その思想は想像したよりも多様性・柔軟性に富み、一個の政治思想として興味をもてるものだった。ただ自分の政治的立場がどうか、と問われると、自由に至上的価値を見い出す事が必ずしも正しいこととは思えず、国家に一定の役割を期待するという古典的リベラルの立場を支持する人間だと答えざるを得ない。もっともリバタニアリズムという反照を通じて、自分の政治的立場が明確になったのは貴重なことであった。

果してこの政治思想が今後も発展して行くのか、あるいは新自由主義とともに黄昏を迎えて行くのか、それはわからない。ただ今のこの時代に、このようなリバタリアニズムの百科全書的な本に出会えた事に感謝して4点。世界の政治潮流を見極める上で、好むと好まざるとに関わらず、知っておいて損はない、そんな思想を分かりやすく紹介してくれる唯一無二の本、それが本書である。



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