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【書評】小松和彦『妖怪学新考 妖怪からみる日本人の心』講談社学術文庫

・妖怪の学といつたら小松である。その小松和彦「妖怪学新考 妖怪から見る日本人の心」(講談社学術文庫)を読んだ。おもしろい。当然、この書での、つまり小松和彦の妖怪の定義がまづ問題になる。それは例へばかうある、「『神』とは人々によって祀られた『超自然的存在』であり、『妖怪』とは人々に祀られていない『超自然的存在』なのである。」(201頁)神と妖怪が紙一重といふのは容易に想像がつく。それは祀られてゐるか祀られてゐないかの違ひだといふのである。確かに河童神社や豆腐小僧神社、付喪神神社などといふのはなささうである。しかし、これらも祀られれ ば神になる。祀られない限りは妖怪のままである。悪さをしようがしまいが、妖怪は祀られてゐないから神ではないのである。神にはなれないのである。これは 端的で分かり易い定義である。ただし問題はある。所謂祟りである。祠の神をしばらく顧みなかつたら凶事が続く。これはあの祠の神の祟りだ。祀らねばとお祀りをしたら収まつたなどといふのがそれであつて、この場合の祠は神なのか妖怪なのかといふことが問題になる。そこで別の定義、説明、「妖怪とは、日本人の 『神』観念の否定的な『半円』なのだ(中略)つまり、伝統的神観念では『妖怪』は『神』なのである。(中略)それが人間に対して多少でも否定的にふるまったとき、妖怪研究者からみれば『妖怪』になるという」(48頁)ことになる。落魄の神といふのではない。人間に否定的にふるまふ、悪さをする、さうすると妖怪なのである。ただし、誰にでもではなく、あくまでも「妖怪研究者からみれば」妖怪なのである。研究者は神と妖怪を峻別するが、普通の人はその違ひにそれほどこだはらないといふことであらうか。「かつて多くのムラやマチで、さまざまな怪異・妖怪伝承が語られていた。それらは人々の生活の一部であり云々」 (117頁)だから、普通の人は研究者のやうに、妖怪を相対化も、客観化もできないのである。いづれにせよ、私程度の妖怪との関はりの人間には、かういふ説明、定義は十分に納得できるものである。
・そんな妖怪は今もゐる。これも本書のポイントである。それを井上円了のやうに合理的な説明で否定することもできる。その方が話は早い。幽霊屋敷はない、 トイレにはな子さんはゐない……かういへば終はりである。しかしさうはいかない。やはりまだゐるらしい。恐怖を感じさせる様々な空間がなくならないからで ある。「妖怪は人々の心が生み出す存在である。」(163頁)からには妖怪は滅びない。ムラであれマチであれ、大都会であれ、人々は恐怖を感じ、そこから 妖怪は生まれる。そこにはこんな特徴があるといふ。「人面犬などわずかな例外はあるものの、現代の妖怪のほとんどが人間の幽霊(亡霊)なのである。(中略)現代人は動物などの妖怪はいまやすっかり信じなくなったが、人間の幽霊の存在をなお信じる人が多い、ということである。」(185頁)都会にタヌキやキツネはゐないのである。そして、問題はそれだけではないらしい。現代人は「自然を恐れる心を失ってしまっているらしいという」(186頁)のである。それがキツネやタヌキに化かされることを忘れさせたといふのである。闇を消し、自然を壊し、その結果、動物妖怪が消えて……現代はそんな妖怪世界であるらしい。それが副題の「妖怪から見る日本人の心」の一端である。妖怪学がかういふことをも突き詰める学問であり続けるならば、今後更なる隆盛の時代を迎えるかもしれない。小松和彦ほどの人がやるのである。まさか単なる分類学で終はるとは思へないが、更に発展した妖怪学を見たいものである。



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