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【書評】ヤーコプ.フォン・ユクスキュル『生命の劇場』講談社学術文庫

クスキュルの最晩年の著書。最後の方は本人が仕上げられず、メモをもとに家族が完成させたようだ。
「環世界」というユクスキュル独特の概念をシンプルに表現した前掲書に比べ、こちらは生物学や諸科学の多方面にわたって視野を広げ、対話形式を借りて、「環世界」論と対立する「機械論」と徹底的に批判しあうディスカッションを展開する。
「環世界」とは、要するに、主体としての生命は、外界の事物のうち自己にとって意味ある物のみに反応し、逆に言うと自己から外界を「意味づけ」ていくことによって、「環世界」という主観的環境のなかで生活する、というようなこと。つまり「主体」なるものを強調し、そこから出発することに、自然科学者としてのユクスキュルの異端性がある。
この本の中でユクスキュルと対立していく「機械論」は、こんにちで言うといわば物質的反応への還元主義者である。動物の感覚や行動の原因も、機械的な器官が化学的な反応をともなって自動的に動作しているにすぎない、という考えで、ユクスキュルによるとこの機械論に、ダーウィンの進化論も結びつけられる。
現在の一般人の常識的な見方を見る限り、むしろ「機械論」の延長上にあるような還元主義が大勢となっているように思えるから、ユクスキュルはいまだに異端なのかもしれない。
進化論について言うとダーウィンが考えたような「無方向な変異が、適者生存の過程をとおして淘汰されてきた」といった「進化の仕方」はたしか既に否定されているようだけれども、修正された形で進化論の諸説が出現しつつ、「進化論」のベースそのものは受け入れられている。
この本は1940年代に書かれたもので、まだ染色体の特質もよくわかっていなかったようで、DNAなどというものはまだ全然知られていない。
DNAを知っていたら、ユクスキュルの言説はどうなっていたろうか? 彼なら、その「意味の設計図」を自説の中に見事に取り入れたであろう。
主体にとっての「意味」を追究するユクスキュルの思想は、その「意味」なるものがちょっと曖昧だったが、しまいにはプラトンのイデア論にまで結合してしまう離れ業。どうやらユクスキュルはカントなどもよく読んでいるし、もともと哲学好きであるようだ。
「主体」「意味」という、やや曖昧な危険性を伴う用語を中心にしたユクスキュルの思想は、こんにち、そして未来においていかなる地位を占めることになるだろうか?



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