スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

【書評】市村 宏『風姿花伝』講談社学術文庫

哲学的で禅問答的な内容を予想していたが、やや拍子抜けするほど具体的、実際的な本だった。「観客を珍しがらせるには」等、何か昔のハウツー本のようにも感じられて少しだけ味気ないなと感じたことは否定できない。けれど物事を極めようとすれば、観念的な理解に基づいて行動レベルにまで落とし込まれている必要があるということは、わたしにも何となく分かる。ここまで具体的であることにこそ意味があるのだと思う。
 特に印象に残ったのは3つの点。一つめは「秘するからこそ花であり、さらけ出してしまえばたいしたことはない、しかしだから秘伝はつまらないものだという者は秘伝の価値を分かっていない」という記述。なるほど確かに、女優さんに「美の秘訣は」と尋ねたって、だいたい返って来るのは簡単な答えばかりで「え〜、それだけなわけないでしょう」となることが多い。かなり俗っぽい納得の仕方だが、要は核心にあるものは単純なもののことが多いのだろう。
 もうひとつは「花とは珍しさである」という記述だ。「珍しさ」を観客に感じさせることこそ大事だ、と何度も説き、そのためには(後にくるものを際立たせ、珍しいと思わせるために)手を抜いて演じる必要があることもある、とまで言っている。普遍的な美についての講釈を期待してしまっていたので、正直「えっそんなことなの」と感じたが、「珍しさ」は「新鮮な驚き」と言い換えられるかもしれない。そうするとわたしにもいくらか理解し易い。
人の心には、昔も今も「驚き」が必要なのだろうか。何でもかんでも「新しいこと」がよしとされ、今までにあったものは「つまらない」「凡庸」と切り捨てられる今の時代。それにずっと違和感を感じていたが、確かに「今までにあったもの」を面白い、美しいと感じる時は、その中に今まで気づかなかったポイントを発見して「驚いて」いるよなあ、と思った。「驚き」とは「喜び」なのかもしれない。
3つめは、「怒った烈しい風体を演ずる時には、反って柔和な心持ちを忘れてはならない。…優美な物真似を演ずる時、強い道理を忘れてはならない」という記述。体を使う時には同時に心を使うこと、常に時計の分銅のように自分の中で体と心とのバランスをとること。これは何をする時にもあてはまる普遍的なことばだと思った。



管理人のその他のコンテンツ

知的快楽主義者の学習日記
通信制大学、資格取得、e-ラーニングなど管理人が挑戦した学習の記録です。

知的快楽主義者の備忘録Wiki
日々のITエンジニアとしての仕事や勉強の中で役立った知識をまとめています。

 人気ブログランキングへ  にほんブログ村 哲学・思想ブログへ 

↑ ↑ ブログランキングに登録しています。気に入って下さった方は出口がわりにクリックお願い致します!!

関連記事
スポンサーサイト

theme : 読むこと、学ぶこと、生きること
genre : 本・雑誌

comment

Secret

FC2カウンター
プロフィール

takemaster2009

Author:takemaster2009
FC2ブログへようこそ!

はじめまして。「爽快!読書空間」管理人のtakemasterです。
このブログでは、書評、映画の紹介を中心に皆様に「小さな感動」をお伝えしています。

ご意見・ご感想などございましたら、こちらにメールして下さい。↓↓↓
takemaster@livedoor.com

なお献本の方も大歓迎です!頂いた本は責任をもってご紹介させて頂きます。ご連絡頂きましたら、折り返し送付先等のメールを送らせて頂きます。よろしくお願い致します。

人気ブログランキングへ
にほんブログ村 哲学・思想ブログへ
にほんブログ村

レビュープラス
最新記事
月別アーカイブ
カテゴリ
全記事一覧
最新コメント
最新トラックバック
リンク
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

検索フォーム
スポンサードリンク
あわせて読みたいブログパーツ
twitter
twitter始めました! フォローお願い致します。
QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。