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【書評】エミール・デュルケム『道徳教育論』講談社学術文庫

教育学の古典としても読めるが、個人的にはカント『実践理性批判』の第二部、純粋実践理性の方法論で語られていたことの補完として読んだ。
また、その前提となる「道徳」についての概念分析が非常に面白く、個人的にはそちらのほうが気になった。
解説によれば、デュルケムのまとまった「道徳論」はこれであり、作成中だったものは死によって完成することはなかったという。(解説459頁)
その「道徳」については、非常にカントに依る部分が多いのではないか。まず分析の方法論は「われわれが道徳の名で呼ぶところのものの総体は何か、それはいかなる性格をもつか、(中略)道徳を一つの事実として観察することから出発」(73頁)している。これはカントの「道徳形而上学原論」における帰納的方法に近似している。
そして道徳の一つの要素として「行為を前もって決定しているところの規則体系」(74頁)であるとし、この規則は「行動の単なる週間ではなく、個人の勝手な修正を受け付けない行動の規範」だという。そしてこの規則概念は、権威の概念を有しており、「われわれに優越するものとして認められる一切の道徳力をわれわれの上に振るうところの支配力」(82頁)として立ち現れる。また、この規則、すなわち道徳律への尊敬は「行動のいっさいの結果を別にして、われわれは従わねばならぬがゆえに従い、服せねばならぬがゆえに服する」(84頁)ことを要求する。このように道徳律は命令として、その事実のために従われることになる。
この道徳律は「内部の衝動に駆られて欲望のおもむくままに振る舞うことではなく、努力をもって行動することをわれわれに教え」、更に「ある種の傾向を制限することを含まぬ行為は、道徳的行為ではない」とする。これはカントが傾向性と適法性が一致しても、それを道徳的行為とは言えないとすることに通ずるものがあるのではないか。
この後も道徳的内在主義を否定し、道徳は個人の内面ではなく非個人的・超個人的な部分=社会(と同時に自発的に従おうとする姿勢も必要である)にこそあるとしているなど、相似点をあげるのには暇がない。
もっとも、そのような読み方(デュルケム理解もカント理解も未熟な人間の)に何の意味があるかはわからないが、デュルケムがカントの影響を受けていたことは間違いないようだ。(解説454頁)
カントは方法論の中で「純粋実践理性の法則を、どのようにして心の格率に取り入れるか」というのを検討していたが、文量的にも内容的にも不十分という印象を受けた。もちろんそれはカントの仕事ではないと言われればそれまでだし、そのことによって断罪するつもりは全くないが、このデュルケムがその補完的役割に留まらない大きな知見を与えてくれたと感じた。



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