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【書評】トマス・ブルフィンチ『シャルルマーニュ伝説 中世の騎士ロマンス』講談社学術文庫

 ブルフィンチというと神話・伝説を現代(19世紀)の平易な文章に書き直したものが多いが、これもまたその一つで主にシャルルマーニュ(カール大帝)宮廷で活躍した十二勇士の冒険を扱っている。
 前半3分の2ほどはイタリア・ルネサンス期の三人の作家(プルチ、ボイアルド、アリオスト)の作品の簡約版の体を成しており、特に有名なのはオルランド(ロラン)の狂気とその死の逸話だろう。残りはユオン・ド・ボルドーとオジエ・ル・ダノワの冒険を語っている。個人的には他の人物よりも多くの頁数を割かれていることもありこの二者の物語が一番面白く読めた。前半部では女騎士のブラダマンテと結ばれるロジェロの話が良い。ただ章ごとに様々な人物に話が飛び火するため、時々流れを見失うことがある。

 内容については上記の通りだが訳文には少々難があるかもしれない。間違いではないし意味も通じるが、英語の単語をただカタカナに置き換えてよしとしてしまう訳ってどうかと思ってしまう。また、人物の名前についても、原語がわからない場合は適当に発音しておいた、とあとがきにあるが、学術文庫がこんなに適当でよいのかと思ってしまった。公正を期するため、野上弥生子訳の『中世騎士物語』と比較する予定。



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