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【書評】那谷敏郎『「魔」の世界』講談社学術文庫

「だが、彼ら[鬼ら]の出没するのが好きな場所は、やはり町の辻や外れや門や橋。『戻り橋』もそうだし、『羅生門』もそうだ。好きな時間はもちろん夜の闇だが、場所は”空間の裂け目”である」 ー 252ページ

魔というものは両義的であり中間的な存在なのだなということは常々思う。昼と夜を顕在意識と潜在意識に照らし合わせるのであれば、その中間領域、入眠時幻覚的なタイミングに魔というものは潜んでいる。

魔女のドイツ語名が「垣根」を指すという話は一部で有名であるように、この微妙なゆらぎというものが人間の想像力をもっとも掻き立てるのあろう。

完全な闇になってしまうと、何も見えなくなり、道に迷う。ある程度の明かりを頼りにして、暗がりを見つめることができる瞬間こそが”空間の裂け目”であり、創造性の発露なのかもしれない。



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