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【書評】徳永恂『社会哲学の復権』講談社学術文庫

アドルノを中心に、フランクフルト学派やその周辺の思想家たちの社会哲学的思想について論じている。

本書の中で著者は、ポパーとアドルノの間で交わされたいわゆる「実証主義論争」に触れている。かつてルカーチは、社会的諸現象を個別的に把握するブルジョワ社会科学を批判し、社会的矛盾を包括的に説明するマルクス主義の立場に立つことを標榜した。だが、これはまさしくポパーが批判する「全体論」にほかならない。ポパーは社会を全体論的に把握する試みを断念し、ピースミール社会工学の立場を対置している。

ところで、アドルノもまた、ポパーの批判する「全体論」の立場に立っているように見える。だが、アドルノの「全体性」は「媒介のカテゴリー」だということに留意しなければならないと著者は述べている。アドルノは、完結した客観的全体性として社会を把握できると考えていたわけではない。彼がめざすのは、ヘーゲルの「限定的否定」に基づく社会哲学であり、彼の考える「全体性」は完結した客観的全体性ではなく、「相互否定的全体性」である。

さらに著者は、こうしたポパーとアドルノの立場の違いを手がかりに、ウェーバー社会学の再評価をおこなおうとする。ポパーは、問題を見いだすことから社会についての認識がスタートすると考える。その点では、ポパーは私たちが価値評価から逃れられないということを積極的に認めていた。だがそうしたポパーの立場は、「方法論的理念」の内部に閉じられているとアドルノは批判する。

ウェーバーによれば、「価値」は当為から自由な存在物でもなければ、はるか天空に存在する理念でもない。このことは、「価値」が社会において物象化された相で現われるということを意味している。アドルノは、こうした「事象」(Sache)の複雑なありように否定的な照明を当てることが社会学の役割であり、ポパーのように方法論的理念によって「事象」の複雑さを斬り捨ててしまうことは許されないと考えたのである。

このほか、「事象」へと批判的に関わろうとするフランクフルト学派と対比的なスタンスをとる哲学者としてフッサールを取り上げ、彼の現象学に潜む方法論的アポリアを指摘した論考なども収録されている。



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