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【書評】J・リチャード・ヒックス『経済史の理論』講談社学術文庫

 ケインズの経済学説を数理的に体系化したといわれるヒックスによる、経済体制成立の発生論的な分析書。数式は一本も出てこないし、グラフもなく、「価値と資本」を見た記憶からすると同一人物の著作とは思えないほどの体裁だ。解説を見ると、研究者としての初期ヒックスから後期ヒックスへの転換期の著作なのだという。

 内容を見てみると、まずこの著作の目的を述べてから、地域をまとめる意思決定の原理として上からの指令経済と、下からの慣習経済という二つを見出し、そこから社会状態をさらに広げていく第三の商人的経済の発生を提起し、その典型を古代ギリシア・ローマや中世ヴェネチアなどの都市国家に見る。そこに見える萌芽的秩序としての交換市場の仕組みが、国家による貨幣・法律・信用の保証を得て強化され、一方で国家も市場のプレイヤーになることで財政政策の絡みから金融市場も整備され、農業も財市場や金融市場とリンクし、近代農業や近代工業の確立によって労働市場も機能し始めるという筋書きが、手際よく繰り広げられていく。

 ここで語られているストーリーをどう受け取るかでこの著書の評価は大きく分かれるのではないか。著者は統計力学の比喩を交えて解説するが、読んでいて、真実性については判断しかねる一方、実際納得できる議論で、その蓋然性は高いと思う。

 こうやって各市場の成立の経緯を見てみると、今では渾然一体になってしまってわかりにくくなっている経済システムの効き目が一つ一つ想像しやすくなる。歴史を学ぶことは現在と距離をとることで現在を理解しやすくするという効き目をくれるが、この著作はまさにそういった効き目があるいい例だと思う。



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