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【書評】福井憲彦『「新しい歴史学」とは何か―アナール派から学ぶもの』講談社学術文庫

マルク・ブロック、リュシアン・フェーブル、フェルナン・ブローデルらが雑誌『アナール』を拠点に推し進めた、アナール学派の歴史学の意義を解説している本。

19世紀における実証主義的な歴史学の確立は、国民国家の形成と並行関係を持っている。そこでは、政治史こそが歴史学の中心とされ、それに対するアンチ・テーゼとしての文化史によって補完されるという枠組みが支配的だった。また、ヨーロッパの歴史をモデルにした時間・空間認識を前提に、文明の拡大という文脈の中で歴史が語られてきた。

こうした19世紀歴史学の枠組みを打ち破ったのがアナール学派の果たした役割だった。彼らが提唱した社会史の視点は、歴史的な事件を長期的時間枠組みの中で見なおし、それが持つ多層的な意味を明らかにしようとした。同時に地域史の視点は、国民国家の形成をモデルとする従来の政治史の枠組みから歴史学を解放した。

本書では、こうしたアナール学派の歴史学が扱った「フォークロア」や「生と死」、「都市空間」などのテーマを紹介し、20世紀の歴史学が人文・社会科学のあらゆるテーマを扱う総合的な学問として捉えなおされたことが分かりやすく解説されている。



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