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“貧困大国の真実” 『COURRiER Japon(クーリエ・ジャポン)』 2010年3月号

 レビュープラス様より、『COURRiER Japon(クーリエ・ジャポン)』 2010年3月号を献本して頂きました。いつもありがとうございます。

 今回の特集は、「貧困大国(アメリカ)の真実」。前回の特集「次の、ITライフ。」では、グーグル、Twitter、パンドラなど夢と成功、可能性の国という印象が強かったアメリカ。今回は、そんなアメリカが一方で抱える貧困の現実を、『ルポ 貧困大国アメリカ』 (岩波新書) の著者である堤未果責任編集のもと浮き彫りにしています。

レビュー: 「CHANGE(変革)」、「HOPE(希望)」の言葉を掲げ、黒人初のアメリカ大統領として国民の期待を一身に集めたバラク・オバマ大統領。しかし、その当選の影には7億5000万ドルの選挙資金の大部分を権利企業が提供するという真相が隠れていた。今回の特集では、失業率の上昇、フードスタンプ受給者の急増、医療改革の難航、大学授業料の高騰と高金利学資ローンの問題、犯罪者の増加によって莫大な富を得る刑務所ビジネスの実態というテーマを取り上げ、主に政治と企業の癒着という切り口から、貧富の格差が増大するアメリカの病状が明らかにされている。以下、順に各記事の概要と日本の現状との比較という観点から、私見を述べていきたい。

Ⅰ.「フードスタンプ」受給者の増加: 急速な景気悪化とそれによる失業者数の増加によって、食料品の購入補助を目的とする「フードスタンプ」の受給者も1日2万人のペースで増加している。しかも、以前では考えられなかった所謂中間層と呼ばれる人々が、失業、給与カットなどを理由に受給者となるケースも増えている。「フードスタンプ」受給に対する「怠け者」というレッテル、偏見に対する抵抗も根強く、本来受給をすべき人が、受給を受けようとしないという問題も生じている。

私見: 私にはこの「フードスタンプ」をめぐる受給者の葛藤の問題の根底には、社会的保護、保障制度全般にわたる普遍的な問題があるように思われる。つまり保護、保証を受ける側にとって、それを受け入れる為の前提として、その保護、保障を受ける分野における社会的不能の告白を必要とする。それと同時に保護、保障を受けることによってその保護に対して周囲の人々が持つ偏見に耐えることも求められる。そして、社会的保護・保障制度に対する偏見が生みだされる原因の一つとして、記事でも扱われた「制度を悪用する人間」の存在があるのだろう。先日、年末年始に東京都が行った派遣労働者に対する再就職支援を行う「公設派遣村」の報道の中で、就職活動の交通費等の為に支給された2万円を、支給直後にビール、パチンコに使う受給者の姿が取り上げられており、その姿は、フードスタンプでステーキを買い込む人と重なる。しかし、こういった「制度を悪用する人間」はあくまでも、「一部」であり、「全体」ではない。社会的保護・保障制度に対する偏見は、この「一部」を「全体」と錯覚することで生じているような気がしてならない。

Ⅱ.医療改革の難航: 4700万人の無保険者を抱えるアメリカ。日本をはじめ先進国の多くが採用している公的保険のよる「単一支払い皆保険制度」の導入を目指して始まったオバマの医療改革は、民間保険と公的保険の競合を目指す下院案、上院案を経て、民間保険に無保険者4700万人を加入させる当初の目標とは程遠い結果となった。高額の治療費、保険料に苦しむ人々の増加の一方、実際には医療費が保険の対象とはならない低額の「ジャンク保険」も存在している。

私見: 病気になっても適切な治療を受けられないアメリカの医療保険問題。その改革を目指したオバマ政権が、結果的には現在の4700万人の無保険者を民間保険に加入させるという案に落ち着いた結末には、保険業界の圧力に政界が強く影響を受けたという印象のみが残る。そして民間保険の質の問題、記事で取り上げられていた「ジャンク保険」のように、国民の医療費への不安につけこんだ悪徳保険をどのように市場から排除していくのかが今後の課題となるだろう。一方、皆保険制度が成立している日本でも、フリーターや派遣労働者の一部に見られる国民健康保険未加入問題、救急医療など、特定の医療分野における医師不足の問題を抱えており、平等な医療の実現には多くの課題が残されている。

Ⅲ.大学授業料の高騰と高金利学資ローン: 不況の影響を受けた教育予算の削減、寄付金の低下によって大学の授業料が高騰化。高金利の学資ローンの返済が、卒業後の学生達を苦しめている。さらに学資ローンには破産法が適用されず、借金の返済に追われることとなる。

私見: 日本の大学問題でも、少子化による定員割れの増加、実学偏向といった問題に加え、議論されることが増えてきた授業料の問題。独立法人化の国立大学の授業料増加など教育と経済の問題は、日本でも深刻な問題である。私自身、大学院卒業後、奨学金の返済は毎月家計の中で大きな割合を持った存在であるだけに、他人事ではない問題として捉えられた。大学進学率の上昇と学費の上昇が今後も続けば、教育費を抑える為の少子化という悪循環、さらに親が自分自身の学資ローンの返済を抱え、子供もまた学資ローンを抱えざるをえないという二重の悪循環が世代を越えて拡大していくことにもなるのではないだろうか。

Ⅳ.犯罪者の増加によって莫大な富を得る刑務所ビジネス: 企業の抱える安価な労働力の確保という需要と国家と州が抱える予算の削減という課題が結びついた刑務所ビジネスの実態。入所時に多額の借金を負わされ、最低賃金以下の賃金で働かされる入所者たち。そこには医療サービスの低下や社会復帰支援の質の低下という問題もつきまとっている。そういった状況が生み出す再犯、高額のローンによって家を失ったホームレスを犯罪者と見なす法案が、刑務所ビジネスをますます潤わせることになっている。

私見: 自由と平等の国アメリカで、構造的に犯罪者を作り出す仕組み。そしてこの構造を利用して巨万の富を得る刑務所ビジネス。自由と平等の建前のもと、病的に肥大した自己責任の悪夢、政治と企業の癒着を強く感じさせる記事である。「ビジネスの倫理」とは何なのか今一度考え直す時が来ているのではないだろうか。

 今回の特集を読んでいると、アメリカのもつ、なんでもビジネスにしてしまう体質、ローンでものを買うという体質が、政治とビジネスの癒着によって格差をさらに拡大している印象を受けた。そして、ここで取り上げられていた問題が、これほど顕著ではないにしても現在の日本社会が抱える問題とも共通している点に驚かされた。

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バックナンバー: 特集「次の、ITライフ」『COURRiER Japon(クーリエ・ジャポン)』2010年2月号   特集「新世紀ベルリン」『COURRiER Japon(クーリエ・ジャポン)』2010年1月号

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