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【書評】鎌田茂雄『仏陀の観たもの』講談社学術文庫

タイトルが「釈尊の観たもの」ではなく、「仏陀の観たもの」となっている。阿含経典の引用もあるが、中心は著者が得意とする中国大乗仏教および漢訳大乗仏典に基づく論考である。従って、釈尊の親説と大乗仏典に描かれる仏陀に仮託された教義との違いを明確に把握することが必要である。

大乗仏典の仏陀に仮託された教義の一つの立場を説明するのが本書である。一方で、釈尊親説の文献は存在しない。
『上座仏教の思想形成』(馬場紀寿著)や故ブッダダーサ比丘の法話([...])によれば、上座部のブッダゴーサ長老などが、パーリ三蔵を書き換えた可能性がある。従って、アーガマ経典から釈尊親説を注意深く抽出する必要がある。私の知る限り、これを本格的に実施したのは故ブッダダーサ比丘だけであり、次の四つの膨大な法話が知られているが、未だに校訂中であり、出版されていない。
 (1) The Buddha's Life From His Own Lips
 (2) The Four Noble Truths From His Own Lips
 (3) Dependent Co-origination From His Own Lips
 (4) Treasure Chest From His Own Lips
日本では、『評説 インド仏教哲学史』(山口瑞鳳著)が同じ目的で書かれている。

私も5年前からアーガマ仏典に於ける釈尊の論理を絞り込み、それを適用して真義を確かめる方法を繰り返すことで、釈尊親説の輪郭が見えて来た。
その一部を紹介する。
[1]四聖諦(p.62)は法則〔苦諦・滅諦〕と応用〔集諦・道諦〕からなる。
宮元啓一氏が指摘するように、輪廻〔苦諦〕と解脱〔滅諦〕はそれぞれ一つの法則である。
 輪廻の法則〔苦諦〕:根本的生存欲〔無明・癡〕 ⇒ 欲望〔貪・瞋〕 ⇒ 善悪の行為〔業〕 ⇒ 輪廻
 解脱の法則〔滅諦〕:根本的生存欲の滅 ⇒ 欲望の滅 ⇒ 業の滅 ⇒ 輪廻の滅 
私の考察に依れば、集諦と道諦は一つの法則ではない。集諦は苦諦理解の実践であり、道諦は滅諦実現の実践である。各自の個性に応じた実践方法は無数にあるが、釈尊は七科三十七道品に分類した。

[2]十二縁起(p.82)は四念処で構成される。
私の考察に依れば、十二縁起は五蘊縁起を介して四念処法を導く。十二縁起の項目を関連度合いでグループ化し、その機能を一つの言葉で代表すれば五蘊縁起と対応する。
 (a)  無明・行・ 識・名色・  六処・触・  受・ 愛・渇愛・取・  有・生・老死
 (b) 【無明・行】・【識・名色】・【六処・触】・【受】・【愛・渇愛・取】・(有・生・老死)
 (c)   【行】⇒   【識】⇒    【色】⇒ 【受】⇒  【想】⇒  次の【行】へ ・・・ 五蘊縁起
 (d) 【色】≡【身】であり、【想】+【行】+【識】≡【心】である。
以上により、十二縁起が四念処の三つに対応することが明確になり、四念処法の第一段階〔身念処法〕・第二段階〔受念処法〕・第三段階〔心念処法〕が流転縁起と還滅縁起の実践であることが明確になる。なお、「受」は「色」に対する「感情」であり、「心」は「感情」をもたらす「色」を取捨選択する顕在・潜在の「好悪意識」であり、自らの「好悪意識」を分析する「論理的意識」でもある。このことから、「身(色)」・「受」・「心」に対応する「欲界」・「色界」・「無色界」という三界の概念が生まれたのである。

[3]仏教の三大原理(p.33)は四念処法の法念処の内容を抜粋したものである。
四念処法の第四段階〔法念処法〕は、次の4ステップである。
 (1) “常に無常を瞑想しながら法(抽象的な意識)を入息・出息する”と自らを鍛錬
 (2) “常に溶暗(愛着の解消)を瞑想しながら法(抽象的な意識)を入息・出息する”と自らを鍛錬
 (3) “常に消滅(ドゥッカーの消滅)を瞑想しながら法(抽象的な意識)を入息・出息する”と自らを鍛錬
 (4) “常に投げ返す(手放す)ことを瞑想しながら法(抽象的な意識)を入息・出息する”と自らを鍛錬
ここで、入息・出息は息とは無関係であり、抽象的な意識〔法の一つ〕の生・滅を意味する。同様に、受念処法の入息・出息は感情の生・滅を意味し、心念処法における入息・出息は心(具体的な意識)の生・滅を意味する。なお、具体的な意識とは色界における意識であり、抽象的な意識とは無色界における意識である。もう少し分かりやすく表現すれば、抽象的な意識とは二元性の意識(主観・客観とか有・無などの意識)である。「投げ返すこと」とは「二元性の意識を手放す」ということである。これが釈尊の「大慈悲」に直結するのである。



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