スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

【書評】クードレット『西洋中世奇譚集成 妖精メリュジーヌ物語』講談社学術文庫

本書は、中世フランス語の妖精メリュジーヌ物語の和訳、言わずと知れた中世史家ル・ゴフとルロワ・ラデュリによる論考の和訳、参考文献・注から成る文庫です。
本文中には中世写本から採録された挿絵が何点も入っていますが、原典を拡大したのか、或いは写本自体の劣化等によるのか、ぼやけてしまっている物も多いのが残念です。
物語の訳文は韻文のように短い行で書かれていることもあり、本文は2段組になっています。
この物語では、誤って伯父を殺すという不運に見舞われた主人公の男性レイモンダンが、すでにそのことを知っていた妖精の女性メリュジーヌに出会い、
メリュジーヌのアドバイスで(本当に過失だったとはいえ)自分が殺したことはバレずに済んだうえに、地所と地位を得てメリュジーヌと結婚、彼女の力で富と繁栄を手にします。
しかしメリュジーヌは、土曜日にはいなくなるが詮索して見に来てはならないとレイモンダンに誓約させるのでした。
物語の中で「見てはならぬ」「開けてはならぬ」等の禁忌があればどうなるかは相場が決まっています。レイモンダンとメリュジーヌの夫妻は繁栄のうちに暮らし、
子供もたくさん生まれますが、子供には大いなる武勇などの力や美点に加えて外見に何がしか各自奇妙なところがあります。
レイモンダンも、土曜日に妻が何をしているかという疑念を兄からたきつけられてしまうのでした。
物語本文中に、「やがてはこうなるのだ」という事を述べる箇所が時折含まれ、物語自体が結末を先に示しています。そのため、読者も「この先どうなるのか」を知った上で読み進めていくことになります。
強引に例えれば「鶴の恩返し」的な所も無いではない、大枠としてはよくあるストーリーですが、名家の注文に応じて制作されたというこの作品の背景からみて、
その家のご先祖様として位置づけられるメリュジーヌの血統の人々の描かれ方も興味深いところです。例えばメリュジーヌの息子が悪行をした際に、メリュジーヌがその行為を正当化し理由づけるのも、
立派であるべき先祖としてメリュジーヌの子供たちを描こうという意図によるものなのかもしれません。
また、メリュジーヌ物語という表題ながら、息子たちの武勇や冒険などもたくさん語られ、「彼のことはひとまず置いて彼の話を」といったように、話の主人公はあちこちへ飛びます。
メリュジーヌ自身がどうしてこうなったのかというエピソードから、よく当時の物語文学にみられる巨人との戦いのエピソードまで、幅広い物語が語られています。
このような妖精女を先祖にもつと主張することがPRになったというのも面白い事です。巻末の論考では、中世から近代にかけてメリュジーヌのイメージや役割が、
どのように変容したかという点を興味深く読みました。貴族の家のPRから村のおばあさんたちが語り継ぐような民衆レベルに降りてくるに従って、
メリュジーヌが子供を沢山産む子孫繁栄のイメージから、農業繁栄(豊作の予言や、新しい豆の作付導入など)のイメージが重要視されていったというのは面白い指摘です。



管理人のその他のコンテンツ

知的快楽主義者の学習日記
通信制大学、資格取得、e-ラーニングなど管理人が挑戦した学習の記録です。

知的快楽主義者の備忘録Wiki
日々のITエンジニアとしての仕事や勉強の中で役立った知識をまとめています。

 人気ブログランキングへ  にほんブログ村 哲学・思想ブログへ 

↑ ↑ ブログランキングに登録しています。気に入って下さった方は出口がわりにクリックお願い致します!!

関連記事
スポンサーサイト

theme : 読むこと、学ぶこと、生きること
genre : 本・雑誌

comment

Secret

FC2カウンター
プロフィール

takemaster2009

Author:takemaster2009
FC2ブログへようこそ!

はじめまして。「爽快!読書空間」管理人のtakemasterです。
このブログでは、書評、映画の紹介を中心に皆様に「小さな感動」をお伝えしています。

ご意見・ご感想などございましたら、こちらにメールして下さい。↓↓↓
takemaster@livedoor.com

なお献本の方も大歓迎です!頂いた本は責任をもってご紹介させて頂きます。ご連絡頂きましたら、折り返し送付先等のメールを送らせて頂きます。よろしくお願い致します。

人気ブログランキングへ
にほんブログ村 哲学・思想ブログへ
にほんブログ村

レビュープラス
最新記事
月別アーカイブ
カテゴリ
全記事一覧
最新コメント
最新トラックバック
リンク
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

検索フォーム
スポンサードリンク
あわせて読みたいブログパーツ
twitter
twitter始めました! フォローお願い致します。
QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。