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【書評】弓削達『永遠のローマ』講談社学術文庫

ローマ通史だと思って読み始めたが、違った。

ひとつは、ローマ亡きあとの中世の人々が、「永遠のローマ」という概念を取り返そうと取り組む精神史を描こうとしている。
またひとつは、勝者となったローマの理由や、帝国ローマの崩壊の理由を探るのでなく、大国ローマが頭の上を通り過ぎていくとき、その下で生き続けていく人々の日常を描こうとしている。

著者は、古代ローマ史をこれ一冊で卒業していくひとにも全容を理解してもらえることを意図したというが、切り口に偏りがある。さらに前半の通史自体、もう少し整理する余地があろうと思う。
いずれにしても、塩野ローマを読み続けた者としては、古代人類の到達した文明の輝きを評価しない筆致には、いささか反感を覚える。堕落が没落のひとつの理由という説を語るとき、筆者がキリスト教の側に近すぎるのではと感じる。

本書を読んだひとは、できれば他のローマ史も読んでほしいものである。



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