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【書評】大林太良『神話の系譜―日本神話の源流をさぐる』講談社学術文庫

日本神話・民族学の研究者、故大林太良氏の
1986年頃までの論文集であり、
日本神話の源流はどこにあるのかというのを
広く世界の神話を見て、その伝播のルートをあきらかに
しようとする中で述べていく。

中国、朝鮮、北方ユーラシアと印欧世界、東南アジア・オセアニアと
あまねく、広い視座で見ていくことで、
学術的であり「思想に染まる」ことのない丹念な議論、
そしてときにダイナミックな推論も入っている。

日本は19世紀後半から20世紀にかけて
国策として皇国史観が絶対視されるようになり、
天皇家を神の一族とする神話を教えるようになり、
一方では戦後にマルクス史観が優勢になり、
人間を判で押したような見方で切ってしまう歴史観が
幅をきかせるようになった、という
「思想まみれ」の歴史があるわけだが、
そういうところから脱却して、
先史時代から続く人類の広がりと、物語の伝播、変化を
神話の比較研究というかたちで進める、アカデミックな
人々が確かに存在した、ということを
私は本書を読んで初めて知ることができたように思う。

こと、日本人のルーツという話になると、今では
分子生物学などの進歩のおかげで、自然科学的アプローチで
明らかにすることが主流であると思うが、
もちろんその方法がおおいに有効であることを認めつつ、
現代まで連なる私たちの持つ価値観であるとか、社会集団観念のような
部分はどんなところから明らかにするとよいのだろうと
思うときに、この民族学な取り組みは非常に優れたものだと
思う。

それは別に過去を知るだけのことではなくて、
たとえば天皇制だとか周辺諸国との関係だとかの今日的な
問題についても、ルーツを適切に知り、考えに取り込むことで
終わりない泥沼状況から脱する可能性すらあるような気がする。

と話はかなり逸れたが(笑)
本書についていえば、ともかくいろいろな世界の地域からの
物語が口伝で運ばれ、まじりあってローカライズされたものが
日本神話だと考えてまず間違いないというのが
端的なまとめである。
日本人は、技術を取り込んで活用するのが得意という話は
昨今でも、あるいは数百年前の時代でも当てはまると言われるが、
どころか二千年くらい前でも、どうやらそうらしい、ということを
思った。

まぁそれは、まさに日本が島国で東の端っこにあるという
地形学的な部分が非常に大きいと思うのである。



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