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【書評】シャンナ・スウェンドソン著、今泉敦子訳 『(株)魔法製作所 スーパーヒーローの秘密』 創元推理文庫

 大人気のロマンチックファンタジー魔法製作所シリーズの第5弾です。現実の世界と魔法の世界がうまく織り交ざった世界で繰り広げられる物語。世界観的には『ハリーポッター』に似ているかな?とも思います。
 

内容
: 妖精やガーゴイルなど魔法な世界が見えるのに、魔法が使えない、魔法にかからない主人公ケイティ。魔法の世界で免疫者といわれ珍しがられる彼女はごくごく普通の女の子。すごい魔法力をもつ彼オーウェンとも紆余曲折を経て結ばれ、さまざまな理由で遠のいていた会社(株)MSIに復職しようと出勤した朝、地下鉄内でいきなり魔法を使った犯罪現場に出くわす。どうやらライバル会社スペルワークスの仕業らしい。魔法の悪用を企む輩を阻止すべく立ち上がったのは、大魔法使いマーリン率いる(株)MSI。切り札は復職したてのケイティが行うカスタマーカンファレンス。愛するオーウェンの協力も得て、計画は順調に進むかに見えた。だが、カンファレンスのさなか敵の陰謀がオーウェンを襲う!!
 オーウェンの出生の秘密も明かされる大人気シリーズ第5弾!!
 
感想: 魔法と現実の世界が並列して存在する世界観にはすぐに入り込めます!通勤途中のラッシュの中で魔法が使われているなんて、あまりにも現実的すぎる世界。なのに魔法が使われていて、その魔法が商品として販売されているのもおもしろいです。しかも、その商品に関してカスタマーカンファレンスまであるとは・・・。実際にありそうで夢のある話です。
 今回の話でかっこよくスマートで言うことなしの主人公の彼オーウェンの出生の秘密が明らかになりますが、それもいろいろと事件が重なってやっと明らかになります。それが騒動を収束させる鍵ともなっているのですが・・・。
 現実世界にいきる魔法の世界という魅力的な物語の舞台に、ごく普通の女の子ケイティと魔法界屈指の魔法使いオーウェンの恋の行方が甘くからんで女性にはたまらない作品だと思います!!

*シャンナ・スウェンドソン著、今泉敦子訳 『(株)魔法製作所 スーパーヒーローの秘密』は、東京創元社様より、献本していただきました。いつもありがとうございます。

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theme : 本の紹介
genre : 本・雑誌

映画 『君に届け』

 大ヒット少女コミック『君に届け』を映画化したものです。ヒロイン黒沼爽子役に多部未華子、風早翔太役には三浦春馬がキャスティングされ、監督は『ニライカナイからの手紙』、『おと・な・り』、『DIVE!!』などの作品でしられる熊澤尚人監督です。
 コミックからアニメ化され、映画化となった今作。爽子と風早のなにげない日々で少しずつ育っていく恋心と友情をやわらかく描いています。
 

内容
: 入学式の日に道に迷っていた風早(三浦春馬)に道を教えた爽子(多部未華子)。「一日一善」を座右の銘にしている真面目で心優しい女の子だが、見た目が暗いために周囲に誤解されてばかりであだ名は「貞子」。
 クラスメイトとなった風早は明るく爽やかで男女問わずみんなから慕われる人気者で、爽子とは正反対。みんなから避けられがちな爽子に対しても風早はなんの迷いもなく親しげに接する。最初は戸惑っていた爽子だが、次第に憧れと尊敬の気持ちを抱くようになり、風早も人知れずクラスや学校のために働く爽子に対して興味を持ち始めていく。
 夏休み前にクラス全員参加の肝試し大会で、クラスメイトの吉田千鶴(蓮佛美沙子)と矢野あやね(夏菜)、風早との距離が縮まり、2学期に入っての席替えでさらに打ち解けてきた爽子だったが、学校内でおかしな噂が広まって・・・・
 周囲に誤解され一人でいることの多かった爽子に巻き起こる様々な変化。爽子と風早はいったいどうなるのか?千鶴・あやねとの友情は?
 
感想: 一般的なコミックやドラマなどで起こりがちな大きな事件やドロドロした人間模様はまったくない、普通の高校生活風景を描いた作品で、誰しもが経験したことのあるような景色がそこにはあります。そのため、男女問わずこの世界観に共感でき楽しむことができるのではないでしょうか。
 原作コミック、アニメとみてきて、今回の映画を見ると、多少「違うな」と感じるところもありますが、その世界観にある幸福感やときめき感といったものは健在で、監督の言にもあるように「原作ともアニメとも違う、もう一つの『君に届け』」だと感じました。
 多くのエピソードやきゅんきゅんするようなセリフがちりばめられた原作を約2時間の短い時間に<ギュ>っと凝縮しているわけですから、すべて原作通りにいかないのは当たり前です。そこはしかたありません。
 まったり、ゆったりとした空気感を感じたい方、爽やかな青春を感じたい方にはぜひオススメしたい作品です。

theme : 最近見た映画
genre : 映画

映画 『レポゼッション・メン』

 ベストセラー作家、エリック・ガルシアによる原作をジュード・ロウ主演で映画化したSF作品です。監督は期待の新星ミゲル・サポチニク、共演にはフォレスト・ウィッテカーやリーヴ・シュレイバーなど名優がそろっています。
 アクションが多く、臓器を扱っている点もあって15歳R指定がかかっています。
 

内容
: 人工臓器により長寿が可能になった近未来。しかし、人工臓器は大変高額で、購入のほとんどはローンをくむ人がほとんど。その高額ローンの返済が滞るとレポ・メンと呼ばれる臓器回収人がいつでも、どこでもあらわれ強制的に臓器を回収していた。
 レミー(ジュード・ロウ)はその臓器回収人のなかでも腕利きのレポ・メンとして知られていたが、ある出来事によって人工心臓を移植することに。多額の借金を返そうと必死に回収の仕事をこなそうとするが、なぜか移植したあとからいままでのように臓器の回収ができなくなり、そのうち返済が滞るようになってしまう。
 そんなレミーをみて無理やりにでも回収の仕事に復帰させようと幼馴染で仕事の良き同僚でもあるジェイク(フォレスト・ウィッテカー)が臓器ローン滞納者が隠れている廃墟にレミーを連れて行くが、結局臓器を回収することはできず、謎の女性ベス(アリシー・ブラガ)と出会う。
 彼女もレミーと同じく臓器ローンの債務者で、回収人から逃げ回っていたのだった。同じような境遇の二人が行き着く先は?果たして二人はレポ・メンを振り切って逃げ切ることができるのか?
 
感想: 現実に飛躍的進歩を遂げている人工臓器を取り上げていて、あと何十年かしたら現実にありえそうな話です。劇中のセリフで「車のローンが返済不可能になれば車を回収、家のローンが返済不可能になれば家を差し押さえる。同じように臓器のローンが滞れば臓器を回収する」というのがありましたが、そんな風に臓器を(長い目で見てみれば命そのものを)モノと同列化していることが恐いと感じました。
 生きている人間からなんのためらいもなく人工臓器をとりだす主人公レミーも、自分が移植をしたそのときからかわりはじめます。仕事だと割り切ってやってきたことでも、人を殺していたという事実に直面するのです。
 現実にはたとえ人工臓器が一般に普及して身近なものになったとして、この映画のようにどこでも無理やり臓器回収なんてことはないと思いますが、お金で命が買えるという風に考えてしまうとちょっと悲しい気がしてしまいます。
 命や生きていることについていろいろ考えさせられる作品です。

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genre : 映画

【書評】土屋誠、カンジャナ・アドュンヤヌコソン監修『ジュゴン―熱草帯からのメッセージ―』東海大学出版会

 タイからやって来た、ジュゴンの絵本。ジュゴン絶滅を防ぐために今私たちに出来ることは何なのか。可愛いイラストと詳しい説明で理解出来ます!

 本書は、タイのブーケットにある海洋生物センターに勤務し、長年ジュゴンの研究と保護に尽力してきたカンジャナ・アドュンヤヌコソン氏が、装飾芸術を専門とするナンタポーン・アチャリヤシンによる挿絵によってジュゴンの生態とその身に迫る危機を、わかりやすく若者たちに伝える為に書いた絵本『キュートなジュゴン』の日本語訳です。その名の通り、キュートなイラストによって、温厚で、家族や仲間想いのジュゴンの生態が伝わってきます。

 さらに本書ではこの『キュートなジュゴン』の日本語訳に加え、監修者・土屋誠氏によるジュゴンの生態、ジュゴンが生活し、維持ている海草生態系の仕組み、ジュゴンを守るための法律についての解説が付されおり、ジュゴン保護の問題がタイだけではなく、沖縄本島付近という日本も含めた問題であることが理解できます。ジュゴンの生息数は世界全体で約8万5000頭~10万頭、沖縄本島周辺ではなんと10頭以下(58頁)とその危機的な状況が伝わってきます。

 ジュゴンは、人魚伝説のモデルとなった動物であり、本書のイラスト、そして写真(52頁)からは、母親がまるで人間のように赤ん坊を抱き乳を与える姿が伺え、それが下半身が魚の女の人というイメージにつながったことが容易に連想されます。ジュゴンは浅い海に生える海草類(海草は花を咲かせる顕花植物であり、胞子で繁殖する海藻とは区別される)を食料としており、それは一日当たり体重の10分の1(体重200kgであれば、20kg程度)というかなりの量になります。ジュゴンが海草を食べた跡(トレイル)を作ることが、周囲の生態系の持続にとっても重要な生物攪拌を生じさせています。

 そのジュゴンが絶滅の危機に瀕した理由は、漁業活動による網に誤って引っ掛かったり、エンジン付きの船のプロペラによって傷つき命を落とす以外にも、赤土などの流出による海草帯の死滅など、広く人間活動と環境問題を含んだ理由によるものです。さらに、ジュゴンの妊娠期間は約13~15ヵ月と長く、子育ての期間も長い為、繁殖力が低いことも、個体の減少に拍車をかけています。

 本書を参考に、ジュゴンの保護という視点から、私たちの生活がもたらす環境への影響について考え直すことも大切ですが、本書には、海で網などにかかってしまったジュゴンを発見した際のレスキュー・マニュアル(「沖縄県」のホームページ「ジュゴン・レスキューマニュアル」リンク先:.pdf)も紹介されており、私たちが実際にジュゴンに遭遇した際にどう行動すべきかの指針を学ぶことが出来ます。

 最後に、本書の内容は、まず沖縄にジュゴンがいるという驚きと共に、私の妻が沖縄出身ということもあり、私自身にとっても非常に身近な問題として感じられました。沖縄に行かれる方は是非、本書を参考にジュゴンの生態について勉強してみては如何でしょうか。

関連書籍

 *土屋誠、カンジャナ・アドュンヤヌコソン監修『ジュゴン―熱草帯からのメッセージ―』は、東海大学出版会様より献本していただきました。ありがとうございます。

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