『大前研一通信 2010/5/10発売号』 「日本の真実PartⅢ」 VOL.188

レビュープラス様より、『大前研一通信 2010/5/10発売号』「日本の真実PartⅢ」(VOL.188)を献本して頂きました。いつもありがとうございます。
毎回、大前研一氏が『プレジデント』、『nikkei BP net』、『月刊ベルダ』、『週刊ポスト』など各紙に寄稿した記事を凝縮した『大前研一通信』。各記事には内容的には重複しつつも、異なる角度から分析が行われている部分も多く、それら一度に読み比べることで重要な論点が幾つか見えてきます。
バンクーバーオリンピックで、日本は合計5つのメダルを獲得しながらも、金メダル獲得を逃し、それとは対照的に躍進を見せた他のアジア諸国。大前研一氏は、この出来事を象徴的に思い返しながら、日本の政治・企業・産業界でのリーダーの不在、「垂直統合モデル」に固執し、無理なコストカットにより総合的な競争力を失った日本のエレクトロニクス産業の低迷を厳しく指摘します。
一方で、中国・韓国・台湾におけるエレクトロニクス産業の目覚ましい発展にの裏に、日本人の技術力、そして人材の流出を見ています。その上で、これらアジア企業との協力の道を模索しています。
政治問題の側面では、自衛隊問題、核持ち込み問題、国家元首の規定といった事柄に対して、自衛隊の「軍」としての合法化、核は現実的には持ち込まれているという認識に立ち、核の問題は外交問題ではなく、軍事問題だという視点の転換など、大胆な提案を含んだ広い視野からの分析が行われています。それと併せて、「一新塾」卒業生である小後遊二(こうしろゆうじ)氏による、大胆な政策提言記事「民主党の政策」も途上国へODAなどの短期支援を行うのではなく、長期的な資金・人材・技術支援を行うことの有効性、「推薦入試制度」廃止を含めた大学改革論、全国民への個別識別ID発行により行政処理負担の軽減、電子投票システムの実現など、実現性はともかくとして、その場しのぎ的な政策決定に対する刺激的な提言となっています。
最後の「日本人の「セカンドライフ改革案」」では、定年後の時間が8万7600時間にも及ぶことを指摘した上で、定年後の夢を20個持ち、定年後を視野に入れた資産設計、そして日本円の強みを生かした外貨投資のススメが提案されており、定年後を見据えた人生・資産設計のビジョンを持つことの重要性を改めて感じさせられました。
日本の現状に対する辛口の分析には、暗いものを感じさせられる一方で、技術畑出身の大前研一氏ならではのグローバルな視点に立った政治・ビジネス戦略の妙案の数々に驚きと希望を感じさせられました。
↑ ↑ ブログランキングに登録しています。気に入って下さった方は出口がわりにクリックお願い致します!!