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ヴィカス・スワラップによる小説『ぼくと1ルピーの神様』
(ランダムハウス講談社)を映画化した作品。ダニー・ボイル監督、2009年日本公開作品。
あらすじ: インドの大都市ムンバイにあるスラムで育ち、18歳になった現在は電話オペレータのお茶汲みとして働くジャマール・マリク(デーヴ・パテール)は、ある日最高賞金2000万ルピーの人気クイズ番組『クイズ$ミリオネア』に出場する。ジャマールは連続正解を続けついに、1000万ルピーを獲得する。2000万への挑戦を明日へと持ち越し、一端その日の収録を終えたジャマールだが、番組司会者の通報により、警察の過酷な取り調べを受けることになる。医者や弁護士といった高学歴の持ち主ですら到達できなかった1000万ルピーに、一切の教育を受けていないジャマールが到達したことに、詐欺の容疑がかけられる中、ジャマールは自分の歩んできた人生、そしてその中にクイズの答えが含まれていたことを告白しはじめる。
イスラム教徒としての迫害を受け、幼い頃に母親を殺されたジャマールは、兄のサリーム(マドゥル・ミッタル)、同じく孤児の少女ラティカ(フリーダ・ピントー)と共に生活をはじめる。ある日三人は、ママンという男に拾われ、住居と食事を与えられるようになる。昼間は街頭に立ち、歌を歌い物乞いをする生活が続く中、ママンがギャングとして、子供たちの両目を焼いているこを知ったサリームは、ジャマールと共に逃走をはかるが、その途中ラティカを置き去りにしてきてしまう。
数年後、列車の中で食品を売り、観光地で観光案内を引き受けたりしながら、なんとか生き延びたジャマールとサリームは、ラティカを探しに再びムンバイへと戻る。そして、ラティカが売春宿に売られそうになっていることをつきとめた二人は、ついにラティカを救出することに成功するが、逃走の途中サリームはママンを殺害してしまう。さらにサリームは違うギャングへの保護を求める為に、ラティカを奪い去ってしまう。
そして電話オペレータのお茶汲みの合間に、サリームとラティカのその後を突き止めたジャマールは、ラティカをギャングから奪い返すために、『クイズ$ミリオネア』に出場することを決意する。
レビュー: 日本人には馴染みの深い、『クイズ$ミリオネア』の舞台をインドに移し、貧しいスラムで育ったジャマールが2000万ルピーをつかみ、長年の恋人ラティカと再会するまでを描いた本作ですが、過酷な環境の中で、ジャマールが経験してきた知識ひとつひとつが、クイズの答えに結びついているというストーリー展開は見事でした。
ジャマールが歩んできた人生の波乱万丈さも印象に残りましたが、『クイズ$ミリオネア』で一般人が答えることも出来ないような問題に答える出演者はいったい今までどのような人生を歩んできたのだろうというような疑問を起こさせるような内容でした。若干物足りなかったのは、『クイズ$ミリオネア』の司会者がジャマールを脱落させる為に、あの手この手と策略を巡らせるものの、番組内でジャマールに心理的な不安を覚えさせるような駆け引きがあまりなかったことです。本家みのもんたに負けない、駆け引きが見たかったです。

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