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石川文康 『カント入門』 ちくま新書

★★★★☆
 理性そのものがもつ人間を欺く性質、カントの哲学はそのような理性のもつ性質を見抜き、物事の仮の姿“仮象”を批判することによって、展開されたといえるでしょう。この本は、カントの三批判を仮象批判という観点から論じています。
 概念同士の関係が、図を用いてわかりやすく説明されており、カント批判哲学の入門書として最適です。
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theme : 哲学/倫理学
genre : 学問・文化・芸術

永井均 『ウィトゲンシュタイン入門』 ちくま新書

★★★★★
 独我論という観点から、ウィトゲンシュタインの哲学全般を紹介した一冊です。
 前期の『論理哲学論考』から後期の言語ゲーム論まで、ウィトゲンシュタインがどのような問題関心によって哲学をしていたのかが、よく理解できます。「私」、「世界」、「倫理」といった哲学の伝統的問題を、独自の方法で解決しようと試みたウィトゲンシュタインの生き様は、常に根本に立ち返って問いを立て直す、哲学という営みそのものであるといえるでしょう。

theme : 哲学/倫理学
genre : 学問・文化・芸術

ヘルマン・ヘッセ 『知と愛』 新潮文庫

★★★★★
 学究と思索の世界に生きるナルチスと放縦な愛と芸術の世界に生きるゴルトムントの物語。
 ゴルトムントの愛と冒険の生は、ナルチスとは正反対に極にあるものだが、二人を惹きつけるのは、精神世界の豊かさに他ならないのでしょう。
 ゴルトムントの精神が、生の中にある、美と醜を見つめるまなざしであるなら、ナルチスの精神は、抽象と冷徹なまなざしではあるでしょう。しかし両者にはともに、真摯な世界と自我の交わりとして、読者の心を動かすものなのではないでしょうか。

theme : 本の紹介
genre : 小説・文学

山内志朗 『〈つまずき〉のなかの哲学』 NHKブックス

★★★★☆
 ヴィトゲンシュタイン哲学を謎という観点から考察することを出発点に、“私とは何か?”という問いをどう扱うべきか論じた面白い本です。
 後半では、私を身につけていく、ハビトゥス論が展開され、中世哲学を専門とする著者ならではの大変、興味深い議論が展開されています。
 謎とはつまずきであり、つまずきを通して、私を身に付けていくという結論にいたるまでの過程は、なるほどと納得させれれる部分も多いです。

theme : 哲学/倫理学
genre : 学問・文化・芸術

ミラン クンデラ 『存在の耐えられない軽さ』 集英社文庫

★★★★☆
 テレザを愛しながらも、女を渡り歩くトマーシュと激しい嫉妬に苦しみながらも、彼を愛し抜くテレザ。また、トマーシュの愛人サビナは、様々な運命であったり、俗悪な日常を裏切り続けることによって、存在の軽さの中に生きようとしている。この小説を通して、愛の苦しみ、複雑さが様々な形で描かれているが、そこには、第二次大戦後、共産体制下のチェコに生きる人々という別の複雑さが存在している。映画化もされた、クンデラの代表作。

theme : 本の紹介
genre : 小説・文学

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